

「NISAやiDecoをしたいけど何を選べばいいかわからない」
これから投資を始める人はこのような悩みがあるのではないでしょうか。
お金が関わることなので「失敗したくないけど自分で勉強するにもよくわからない」という方は多いはず。
今回は投資を始めたばかりの方に、1番に知ってほしいことを紹介します。
それが今回紹介する『アセットアロケーション』です。
アセットアロケーションを理解することで、自分で資産をコントロールできるようになり、資産形成をスムーズに行えるようになります。
しかし、予め断っておきますが、相場は何が起こるかわかりません。
アセットアロケーションが組めたからといって、必ず自分の思い通りに資産を増やせるわけではないので、投資は自己責任でお願いします。
上記を踏まえつつこの記事を活用し、どの資産にどれくらい資金を振り分ければいいのかを考える助けにしてください。
【この記事がおすすめな人】
✔アセットロケーションとは何か知りたい人
✔アセットアロケーションの組み立て方が知りたい人
✔投資をしている人が具体的にどんなアセットアロケーションを組んでいるか知りたい人
目次
- アセットアロケーションとは
- アセットアロケーションを組むときのポイント3選
- 具体例を紹介
- アセットアロケーションを組んでみよう
- まとめ
アセットアロケーションとは
アセットアロケーションってなに?
アセットアロケーションは日本語で「資産分配」と訳されます。
簡単に言うと、資産をどのような形で、どれだけの割合を配分するか決めることです。

引用元‐アセットアロケーションとは何か?基礎からわかるポートフォリオとの違い、資産配分の具体例‐
例えば上図でいうと、
・「国内株式」 :45%
・「新興国株式」:30%
・「先進国株式」:25%
上記のように配分したアセットアロケーションを意味します。
資産には上記以外にも、
・国内債券
・先進国債券
・コモディティ(金・原油・小麦など)
・国内REIT(不動産)
・先進国REIT(不動産)
などがあり、それぞれを”アセットクラス”と言います。
もちろん現金もアセットクラスの1つです。
繰り返しになりますが、『アセットアロケーション』とは、
『自分の資産を、「どのアセットクラス」に「どれだけの割合」を分配するか決めること』になります。
アセットアロケーションが重要な理由
ではなぜ投資をするうえでアセットアロケーションが重要なのでしょうか?
理由は、投資の結果(得られるリターンと負うリスク)はアセットアロケーションによって大部分が決まるからです。
2003年に、インデックスファンドで知られるバンガードグループが「ポートフォリオ・パフォーマンスの源泉:揺るぎないアセットアロケーションの重要性」という調査結果を発表し、
“平均で月間リターンの変化量の76.6%がアセットアロケーションによるもの”
と結論付けました。
現在では、アセットアロケーションの重要性が7割なのか9割なのかという数字に開きはあるものの、アセットアロケーションの重要性が非常に高いことは専門家の共通認識になっています。
したがって、投資をするうえで得たいリターンと許容できるリスクを考えて、アセットアロケーションを決めることが重要です。
ポートフォリオとの違い
同じようなキーワードに「ポートフォリオ」があります。
では「アセットアロケーション」と「ポートフォリオ」の違いは何でしょうか?
ポートフォリオとは、アセットアロケーションを具体的な金融商品で表現したものです。(下図参照)

引用元-投資の基本「ポートフォリオ」とは?分散投資のおすすめの組み方と8つのコツ-
上図のように「外国株式」や「国内株式」というアセットクラスには、それぞれに色んな金融商品があります。
アセットアロケーションで決めた割合の中で、”それぞれのアセットクラスの中の金融商品を選ぶことを「ポートフォリオを組む」”と言います。
アセットアロケーションの組むときのポイント3選
これよりアセットアロケーションを組むときのポイントを3つ紹介していきたいと思います。
それが以下の3つです。
【アセットアロケーションを組むときに重要なこと】
- 目的・目標を決める
- リスクを理解する
- 投資資金を分散させる
それぞれ詳しく説明します。
1.目的・目標を決める
大前提として、アセットアロケーションを組む前にしていただきたいことがあります。
それが、「投資をする目的・目標を決める」ことです。
なぜ目標を決めるのかというと、アセットアロケーションは”組めば良い”というものではなく、『目標金額を達成させるため』に組むものだからです。
具体例を挙げると、
「10年で資産を2倍にするポートフォリオ」と「20年で資産を2倍にするポートフォリオ」では、アセットロケーションの組み方が全く異なります。
「10年で資産を2倍にするポートフォリオ」の場合は、年間7%の利回りが必要なのに対し、
「20年で資産を2倍にするポートフォリオ」では、年間3.5%の利回りで達成できます。
それぞれのアセットクラスで、おおよその利回りは計算できるので、目標の利回りを出すためのアセットアロケーションは必然的に変わってくるのです。
このことを分かったうえで投資をしなければ、
大暴落で株を売ってしまったり、高値で買い増してしまったりと、本当にするべきことを見失ってしまう可能性が高まります。
2.リスクを理解する
次に大切なのが、リスクについての理解です。
そもそも、リスクとは何でしょうか?
リスクを「マイナスの言葉である」と理解している方が多いですが、それは間違いです。
下の図をご覧ください。

引用元‐投資におけるリスクの考え方|種類やリスクを抑えた運用方法も紹介‐
どれだけマイナスになるかということではなく、「価格の変動がどれだけあるか」という点がリスクの大きさを決める要因になります。
これを理解すると、「リスクの大きいものは危ない」という視点ではなく、「振れ幅がある」という事を理解できると思います。
一般的にリスクが大きいものとしては、「株」や「コモディティ」が挙げられ、
逆に、リスクが低いものとしては「債券」や「現金」が挙げられます。
3.投資資金を分散させる
3つ目に重要なのが、資金を分散させることです。
分散することによるメリットは「○○ショック」などのタイミングで、大きく資産を減らすことを避けられる点にあります。
ここでのポイントは、アセットクラスだけ分散すれば良いのかというとそうではないことです。
おすすめとしては、以下の4点で分散すべきだと考えます。
- アセットクラスの分散
- 銘柄の分散
- 通貨の分散
- タイミングの分散
▼アセットクラスの分散
アセットクラスの分散は上記で説明した通り、おおよそのリスク・リターンが把握できるので、
「リスクをとりすぎていないか」
「必要なリターンを得られそうか」
といった視点で確認する必要があります。
▼銘柄の分散
銘柄についても分散させることをおすすめします。
例えば同じ「株」のアセットでも、「IT企業」と「日用品の企業」では値動きが全く異なりますし、「日本の企業」か「米国の企業」を選ぶかでも結果は変わります。
そのため、投資初心者には幅広く分散されているインデックスに投資することをおすすめします。
インデックス投資は、プロが運用するアクティブ投資と比べて遜色ない結果を出しているデータが多くあり、初心者でも安心して投資できます。
また、インデックス投資は分散されているというメリット以外にも、「手数料の低さ」「少額から始められる手軽さ」も魅力です。
▼通貨の分散
22年6月からインフレ抑制のため、米国の金利が急激に上昇しています。
それに伴い、2022年の半年でドル円は約20円上昇しました。
急激に円安が進むことで、ドルを持っている人と、円だけを持っている人との間で資産格差が生まれます。
ドルに対する円の価格が戻ればいいのですが、未来の価格を予想できる人はいません。
このようなことから、円しか持っていない人は「円に集中投資している」ということもできるので、「アセットクラス」「銘柄」と同様に、通貨も分散させることをおすすめします。
▼タイミングの分散
最後はタイミングの分散です。
当然かもしれませんが、投資は低く買って高く売ることで利益を得ます。
しかし、「○○ショック」のような大暴落はいつ起こるかわかりません。
買った直後に暴落する可能性だってあるわけです。
買うタイミングを分けることは、そういったリスクを分散させることができます。
具体例を紹介
では、実際にアセットアロケーションの具体例を見ていきましょう。
今回紹介するのは以下の3つです。
①株式100%の場合
②株式と債券の組み合わせの場合
③株式:債券:現金:金の組み合わせの場合
また、株に関しては『米国株』に投資したという前提で紹介します。
例① 株式100%の場合
下図は、『myINDEX 資産分配ツール』で出力した、過去20年間の米国株のパフォーマンスを表したものです。

この図を見ると、過去20年では年間9.6%という高いリターンを出していることが分かります。
一方で、リスクも高く18.4%となっており、これは毎年約20%の資金の変動があることを意味します。
例② 株式と債券の組み合わせの場合
次に、米国株と先進国債券の組み合わせを見てみましょう。

株式100%の時とは異なり、債券を入れることでリターンは2.3%下がりました。
しかし、リスクも12.2%と6.2%下がっています。
これが、よく言われる株式はリスクが大きく、債券はリスクが低いと言われる理由です。
リターンを比べると株100%の方が大きいですが、その分リスクを背負う必要があります。
例③ 株式:債券:コモディティの組み合わせの場合
最後に、株式:債券:現金:金を組み合わせた場合を見てみましょう。

この場合、『①株式100%』のリターンには及びませんが、『②株式と債券』と比べ平均リターンもリスクも改善されていることが分かります。
あくまで過去20年のデータなので、今後もそうなるとは言い切れません。
しかし、資産を分散することで「リスクとリターンを改善することができる」ことが分かっていただけたのではないでしょうか。
アセットアロケーションを組んでみよう!
ここまで「アセットアロケーションの説明」と「アセットアロケーションを組むときの注意点」「具体例」を紹介してきました。
ここからは、実際にアセットロケーションを組んでいきたいと思います。
アセットアロケーションを組むときに便利なツール
アセットロケーションを組むといっても、最初からできる人は少ないと思います。
そこで以下の2つのツールを紹介します。
1.複利計算サイト【keisan】
https://keisan.casio.jp/exec/system/1248923562
2.資産分配ツール【myINDEX】 ※登録が必要
https://myindex.jp/user/myaa.php
どちらも使い方は簡単です。
▼複利計算サイト
複利計算サイトは、「年利」「元金」「経過年数」を入力するだけで、どのくらい増えるか瞬時に計算してくれます。(下図参照)

逆に、”何年後”に”どのくらい”増やしたいのかという目標を決めると、必要な年利を導くこともできるので、次に紹介する『資産分配ツール』と合わせて使ってみましょう。
▼資産分配ツール
複利計算で導き出した目標年率を達成するために活用するのが『資産分配ツール』です。
「現金」「株式」「債券」「その他」に資金を割り振ることで、過去20年間のデータから年利リターンを計算してくれます。(下図参照)

どのように資産を振り分けると目標金額に届くのか、いろんな角度でアセットロケーションを組んでみてください!
この記事では紹介しませんが、「リスク」「リターン」と同じくらい「シャープレシオ」を考えることも重要です。
興味のある方は、1度調べてみても良いと思います。
アセットアロケーションを組むステップ
最後に、ここまでの内容を踏まえてアセットアロケーションを組むステップを紹介します。
【アセットアロケーションを組む4ステップ】
- 投資資金の整理
- 目標金額の設定
- 複利計算ツールで必要年利を抽出
- 資産分配ツールを使って最適化
それぞれのポイントを紹介します。
1.投資資金の整理
まず、自分が今いくら資産を持っているのか整理しましょう。
その中でどのくらいの金額を投資に回せるのかを確認してください。
※投資は余裕資金でするようにしましょう。
2.目標金額を設定
次に、目標金額を決めます。
ここで重要なのが現実的でない目標は立てないことです。
「100万円を20年で1億円にする」
といった、非現実的な目標は立てないようにしましょう。
利回り4%を20年継続すると約2倍、利回り7%を20年継続すると約4倍になります。
利回り4~7%程度が妥当な範囲なので、目標設定するときの目安にしてください。
3.複利計算ツールで必要年利を抽出
2と被る部分ではありますが、目標金額を決めたら達成するための利回りを計算します。
先ほど紹介した「複利計算ツール」を活用してください。
繰り返しになりますが、利回り4~7%程度の範囲が適正です。
大きすぎる利益を狙うとリスクも大きくなるので注意しましょう。
4.資産分配ツールを使って最適化
最後に、資産分配ツールを使ってアセットアロケーションを最適化していきます。
リスクリターンの大きい「株式」「コモディティ」「金」と、リスクリターンの小さい「現金」「債券」の組み合わせの中から自分に合ったアセットアロケーションを見つけてください。
色んなバリエーションを試してみるのがおすすめです。
『資産分配ツール』を使って確認してみましょう!
まとめ
今回は、投資を始めたばかりの人がアセットアロケーションを組む方法を紹介してきました。
繰り返しになりますが、アセットアロケーションを組むことでおおよそのリターンが分かります。
投資を始めたばかりだと、知らず知らずのうちにリスクを取ってしまう危険性があるので注意してください。
この機会にアセットアロケーションを組んで、自分で資産をコントロールできるようになりましょう!